こんにちは、気分障害のアキです。
私は機能不全家族で育ち、ネグレクトという虐待を経験したアダルトチルドレンでした。
関連記事:アキの躁うつな人生
関連記事:機能不全家族とアダルトチルドレン
「でした」と書いたのは、アダルトチルドレンから現在は脱却し、自分の人生を歩んでいるからです。
とはいえ、今もアダルトチルドレンであった後遺症には悩まされています。
私は子どもにとって十分な愛情を受けられず育ちました。
会話のない家庭に育ちました。
だから私には、「愛」というものがよくわかっていません。
私は今も自分の感情には疎くて、今の状態をどう形容したらしっくりくるのかよくわからない時もあるし、愛するということがイマイチわからない。だから夫氏から愛してると言われると戸惑う。愛とは何だろう。でも今は、夫と、息子がジムに出かけていて暗い家に一人。今私は、寂しい。
— アキ@気分障害 (@aki_utsu) June 4, 2018
ではなぜ、今はもうアダルトチルドレンではないと言い切れるのか。
それは、親の人生から自分の人生を完全に切り離しているからです。
目次
アダルトチルドレンは親の影響下で生きている
アダルトチルドレンは親の影響を受け続けながら生きています。
親を見捨てられず、あるいは憎み、そして親の言葉や行動に振り回されています。
本来の発達段階では、14~22歳の思春期~青年期に、アイデンティティ(自己同一性)を確立させていきます。(エリクソンのライフサイクル理論より)
人は約10カ月母親の胎内で動物としての基礎を構築し、誕生によってこの世に産み落とされ、そして思春期に第二の誕生として「自分」という自我をつくるのです。
しかし、アダルトチルドレンは親の影響下から脱することができず、いつまでも「自分とは何か」を確立させることができません。
全ての思考、行動、判断に親の影響が及んでしまい、第二の誕生を迎えることができないまま成人してしまうのです。
アダルトチルドレンと関連が深いものとして「愛着障害」というものがあります。
アダルトチルドレンが自己覚知による概念であることに対し、愛着障害は精神医学で使われる診断名です。
愛着障害とは
愛着障害とは、母親をはじめとする養育者との愛着が何らかの理由で形成されず、情緒や対人面に問題が起こる状態のことです。
乳幼児期に養育者ときちんと愛着を築くことができないと、過度に人を恐れる、または誰に対してもなれなれしい、といった症状が表れることがあります。
愛着障害の診断基準は、簡単に説明すると以下の通りです。
- 5歳までに発症していること
- 異常な対人関係のパターンが持続的にみられる
- 反応の欠如や人を避けるなどの情緒障害がある
愛着(アタッチメント)とは、養育者(多くは両親)との心理的な結びつきのことです。
お腹がすいたとき、おむつが汚れたとき、恐怖や驚きを感じた時に子どもは泣いて親に知らせ、親はそれに応えて不快要因を取り除き、子どもに安心を提供します。
それを繰り返していく中で、子どもは養育者との間に愛着を形成していきます。
しかし愛着障害の場合は、安心を提供してくれるはずの養育者から危害を加えられたり、無関心であったり、あるいは他の兄弟と差別されて育ったり、死別してしまうなどの原因から、適切な愛着を形成することができていません。
愛着障害は、適切な愛着を形成できない限り、大人になってもその影響を受け続けます。
大人の愛着障害者は、アダルトチルドレンという形で自覚を持つ場合があるのです。
大人の愛着障害の症状
情緒面では以下のような症状がみられます。
- 傷つきやすい
- 怒りを制御できず建設的になれない
- 過去にとらわれやすく、過剰に反応する
- 白黒思考
また対人関係については、以下のような症状がみられます。
- 養育者に過度な敵意や恨みを持ち、あるいは従順である
- 親の期待に応えられない自分を強く責める
- 他人との距離の取り方が分からない
- 恋人や子どもにどう対応したらいいかわからない
このような症状から、愛着障害をもつ大人はうつ病や不安障害、境界性パーソナリティー障害を併発しやすいといわれています。
親の人生から自分の人生を切り離そう
愛着障害とアダルトチルドレンは関連が深いことがわかります。
しかし、医学的な診断名である愛着障害には、治療法があります。
- 幼少期に満足に得られなかった愛情深いスキンシップやコミュニケーションをとる
対象は養育者である親でなくても構いません。
恋人やパートナー、友人や教師などとのやりとりを通して愛着障害を克服していくのです。
そして築けなかったアイデンティティを再構築していくことが必要となります。
ここで、通常アイデンティティをどのように構築していくのかをエリクソンのライフサイクル理論から参照します。
エリクソンのライフサイクル理論から考える親との関係性
思春期になると、不特定の友人の中から価値観や主義、信条の合う仲間や親友を作り、その仲間や尊敬出来る先生との関係を自分を映す鏡とし、自分がどのような人間かを見出していくようになり、自分の価値、能力、長所、逆に欠点、短所、弱点を知っていくことで自分の適正が自覚されるようになり自分の社会的役割が見えてくる。そうゆう活動を通して自分を見出していき、アイデンディティが固まってくるのである。
その過程で親離れをするが、それは親から完全に離脱するのではなく、距離が遠くはなるが適切な距離を保つことが大切であり、親との距離を適度に取って、仲間たちの付き合いのなかで自分を見出していくのが健全な成長である。
思春期は「親離れ」をする時期でもあります。
友達や先輩、教師との関係性をもとに自分という人間を見出し、そして同時に親とは距離をとっていきます。
重要なのは、親以外との人間関係を発達させていくことです。
親と物理的に近い距離にいる場合、つまり同居している場合、単に親との距離をとっていく事は困難でしょう。
しかし、親以外との人間関係を発達させていくことはできます。
そうしていく事で、次第に親の影響下にある思考を、行動を、判断を、自分独自のものにしていくのです。
重要となるのは養育者以外との人間関係の構築
アダルトチルドレンは養育者から十分な愛情を受けることができず成人してしまいました。
しかしその克服の過程において、
- 愛着の形成
- アイデンティティの確立
この2つは欠かすことができません。
よって、養育者との間で築くことのできなかった愛着を養育者以外との間で築いていき、その中でアイデンティティを確立させていく。
つまり養育者以外との人間関係の充実こそが、アダルトチルドレン克服につながる道なのです。
親に親としての役割を求め、期待するのは一旦やめて、距離をおきましょう。
家庭環境という過去ではなく、未来の自分を取り巻く人間関係を大切に築いていきましょう。
私にとって「彼ら」と呼称される両親との関係
私の父親は家庭を放棄し、仕事に逃げました。
子どもである私にはそう映りました。
彼は我が子が思春期をむかえる頃に、それまで彼が携わっていた会社の部門が廃止され、会社にとどまり別の部門として新たに働くか、子会社に出向して同じ部門に携わり続けるかの選択を迫られ、そして彼は自分のやりたい仕事をするために、子会社へ出向することを選びました。
彼にとっては、自分のやりたい仕事の方が、家庭よりも優先度が高かった。
彼は企業戦士として開発の第一線に立ち続け、その結果一家離散により家庭を失いました。
しかし定年退職した今、家族との関係性の再構築を図ろうとしています。
私の母親は家庭を守ろうと彼女なりに努力をしたけれど、その努力もむなしく誰にも助けを求めることもできず、現実から目を背けて投げ出しました。
子どもである私にはそう映りました。
彼女は女性でありながら男性社会の中で長時間肉体労働を続け、登山というコミュニティに現実から目を背けるための居場所を見つけ、そして日々をやりくりすることで精いっぱいでした。
結果として彼女は離婚によって家庭から解放され、今は自分の人生を生きながら、やはり彼女自身の親や子どもとの関係性の再構築を図っています。
父親氏が祖母の畑で採れたらしいトウモロコシを持ってきてくれた。お昼前だからか、お弁当と一緒に。ありがたく頂戴した。彼は孫が生まれて以降、一応私たち家族のことを気にかけてくれている。非常に不器用ではあるが、彼なりの愛情を表明している。私の親たちはただただ、ひどく不器用だ。
— アキ@気分障害 (@aki_utsu) June 5, 2018
私たち家族が、それぞれの人生を歩むためにも、子どもである私たちが彼らのもとを去る必要があった。彼らの子どもであることを一旦やめるという過程が必要だった。
そして時間を置くことで、私たちはそれぞれの人生を見つめなおし、自分の人生を歩み始め、そして遅まきながらも家族としての再構築を図ろうとしている。
これが私たちの、家族というトラウマを克服するための過程です。
家族との関係性を、客観的に見つめよう
親も人間です。
完璧な人間などいません。
親は不器用で、不完全で、弱く、そして子どもに多大な影響を与える人間です。
アダルトチルドレンは、家族、特に養育者との関係性を客観的に見つめ、彼らの人生を、価値観を、行動原理を冷静に分析し、親から受けている影響を論理的に考えることが必要です。
そのために、愛着の形成とアイデンティティの確立、つまり一旦家族以外の第三者と十分な人間関係を構築していくことが重要となります。
自分の思いや感情を素直に認めることも大切な要素のひとつです。
自分の人生です。
自分が主人公です。
自分が進む道は、自分で決める権利があります。
アダルトチルドレンを、克服しましょう。