こんにちは、気分障害のアキです。
私は高校を中退してから様々な職場を転々としてきました。
- 精密機器組み立てのライン作業(派遣)
- スーパーのバックヤード(アルバイト)
- 家電量販店でADSLの販促(派遣)
- 家電量販店のPC売り場販売スタッフ(アルバイト)
- 倉庫内軽作業・ピッキングなど(日雇い派遣)
- WEBサイト構築、デザイン(1回のみの請負)
- 大手メーカーでのデータ入力(派遣)
- クレジットカードのコールセンター(派遣)
- 福祉系法人での受付事務(派遣)
- 福祉の相談・事務職(契約社員)
- 老人ホームでの介護職(正社員)
- 福祉系の相談・コーディネーター職(正社員)
思いつく限り時系列順に並べてみましたが、家を出てから15年でこれだけの職歴がある人はあまり多くないのではないでしょうか。(まったくもって自慢ではありません)
ただ、見ていただきたいのは下の方の職歴のカッコ書きです。
(正社員)
そう、正社員なんです。
これだけ悲惨な職歴をもっていても正社員になっているんです。
世の中って不思議ですね…ではなく。
「高校中退」という学歴コンプレックスの塊が、いつかは正社員になりたいと10年程努力してきた結果、病んで休職しているとしても一旦は「正社員」として就職内定を得ることが出来たのはある制度を利用したからです。
その制度の名前は、公共職業訓練です。
この記事では、私の人生に深くかかわる公共職業訓練についてご説明します。

公共職業訓練とは
公共職業訓練は、国及び都道府県が主体となって、公共職業能力開発施設または委託機関によって行われます。(1)離職者訓練、(2)在職者訓練、(3)学卒者訓練の3種に大別され、特に離職者訓練については、離職者の再就職をサポートするための様々な仕組みが置かれています。
最も多い公共職業訓練は(1)離職者訓練です。
離職=失業した人が訓練を受けることにより、スキルアップして再就職に繋ぐことを目的としています。
3ヵ月の訓練が多いと思いますが、パソコンスクールや専門学校などに無料(テキスト代等は実費負担)で通って、資格の取得などを目指すことが出来ますし、再就職がゴールなので再就職支援なども受けられます。
私は「総合事務職養成科」で各種社会保険制度、簿記、Word、Excelの基礎知識を身につけ、日商簿記2級、FP技能士3級などを取得しました。
資格そのものが直接就職にいい影響を与えたかというと微妙ですが、高校中退という学歴コンプレックスを持っていた私としては、資格があるという事は大きな自信に繋がり、もっと勉強して資格を取ろうというポジティブな思考につながりました。
失業中に受講できる職業訓練
失業中に受講できる職業訓練は、制度上2種類あります。
- 公共職業訓練(離職者訓練)
ハローワークの求職者を対象として、無料(テキスト代等の実費のみ負担)で行われます。訓練期間は3カ月~1年とされ、内容(訓練コース)としては、国は主に「ものづくり」に関する訓練を行っており、金属加工科、住宅リフォーム技術科、テクニカルオペレーション科などがあります。都道府県は、地域等の実情に応じた訓練を行っており、情報ビジネス科、介護サービス科、ホテル・レストランサービス科などがあります。
先述した公共職業訓練です。
雇用保険のいわゆる「失業手当」を貰っている方が対象となります。
訓練中は残日数に関わらず継続して「失業手当」を受給できたり、追加で「教育訓練給付」も受給できたりします。 - 求職者支援訓練
・求職者支援制度とは、雇用保険を受給できない求職者の方(※1)に対し、
(1)無料の職業訓練(求職者支援訓練)を実施し、(2)本人収入、世帯収入及び資産要件等、一定の支給要件を満たす場合は、職業訓練の受講を容易にするための給付金(職業訓練受講給付金)を支給するとともに、
(3)ハローワークが中心となってきめ細やかな就職支援を実施することにより、安定した「就職」を実現するための制度です。
(※1 雇用保険の適用がなかった方、加入期間が足りず雇用保険の給付を受けられなかった方、雇用保険の受給が終了した方、学卒未就職者や自営廃業者の方 等)雇用保険の「失業手当」の支給対象ではない方や、受給期間が終了した方が受講できる訓練です。
収入などの条件を満たせば、訓練受講中は月10万円の「職業訓練受講給付金」を受給できます。10万円ではやっていけないという方は更に、「求職者支援資金融資」として労働金庫から月5~10万円のお金を借りることが出来ます。
公的な融資制度なので非常に低利なのが魅力。・「職業訓練受講給付金」を受給しても、その給付金だけでは生活費が不足する場合には、希望に応じて労働金庫(ろうきん)の融資制度を利用することができます。
・貸付の上限額は、同居配偶者等(※)がいる方は月10万円、それ以外の方は月5万円です。
(※)同居又は生計を一にする別居の配偶者、子、父母が該当します。
2つの訓練の違いは何かというと、「失業手当」を受給しているか、そうでないか、という点です。
どちらにしてもテキスト代等以外無料で職業訓練が受講できて、なおかつお金まで貰える制度という点は共通しています。
では、その職業訓練はどのようにして申し込めばいいでしょうか。
職業訓練を受講する3ステップ
- 受講したい職業訓練があるか検索する
ハローワークには必ず職業訓練に関する案内がありますので、それを手に取って見る方法と、インターネットで公共職業訓練コースの検索について|厚生労働省のページから都道府県別、実施機関別に検索する方法があります。(「雇用セーフティネット訓練」と記載されている場合もあります。)
求職者訓練は求職者支援訓練 認定コース情報から地域・目的別に探すことが出来ます。地域によって異なりますが、受講できるのはパソコンなどの事務系以外にも機械・電気・IT・建築・介護・ネイルなど様々な分野の訓練があります。 - 申込受付期間内にハローワークで受講を申し込む
受講したい訓練が見つかったら、ハローワークに申し込みたい訓練の名前を控えて持っていき、職業訓練の窓口に相談にいきます。
直近に別の訓練を受講したばかりなどの事情がない限りは申し込みは受理されると思います。
複数の訓練を同時に申し込むことはできません。 - 受講テストを受ける
一定の学力や一般常識等が問われるテストや面接がある場合があります。
人気のある「医療事務」などの講座では定員オーバーになりがちです。その場合はテストで落ちて受講できない可能性もありますのでご注意ください。
ハローワークから「受講指示」という手紙が届いたら、無事に受講開始です。
申し込みから受講開始まで、テストもあるので半月~1ヵ月程かかります。
もやもやするかもしれませんが、落ち着いて待ちましょう。
ハローワークに受講相談をする時に、その時点での申込者数などを確認することが出来ますので、受講したい訓練はひとつに絞らず第一希望~第三希望くらいまで考えておいた方が良いかもしれません。
職業訓練の注意点
資格の勉強もできるし、お金ももらえるしと至れり尽くせりな制度ではありますが、2つ注意点があります。
- やむを得ない事情以外で休めない
風邪を引いた場合は「医療機関受診証明(領収書など)」、身内に不幸があった場合は「何親等にあたる誰の何に参加したか(お葬式に行ったことがわかる物など)」と、厳しく求められます。もともとの持病、つまりうつで体調が悪いから今日は休む…というのは基本的にダメです。訓練強制終了を覚悟しなければいけません。
うつの症状が酷い方は無理せずに療養に専念しましょう。また、やむを得ない事情であっても休むことが許されるのは「全日程の2割まで」です。2割を超えたらどんな事情であっても訓練は強制終了です。 - ゴールは再就職
訓練実施機関は訓練生が何パーセント再就職できたかという数値を求められます。したがって、再就職の支援にも力を入れています。
再就職できないまま訓練が終わっても、受講者にはペナルティは特にありませんが、訓練実施機関は数値がイマイチだと訓練校の指定をされなくなる可能性があるので、受講者に対して就職活動状況を詳しく聞いたり、時に指導が入り、それがプレッシャーとなる可能性もあります。
なお、就職活動の面接のため訓練を休むのは「やむを得ない」とされますが、単にハローワークで求人情報を検索しただけ、では「やむを得ない」とみなされない場合があります。詳しくは訓練校やハローワークの担当部署から説明があります。
訓練期間が2年の職業訓練もある
2~3月頃になると、受講期間が2年の職業訓練が現れる場合もあります。
それは、一般の高校を卒業したばかりの若者が進学する専門学校が行う職業訓練です。
3月末で失業する人にとっては、この職業訓練はかなり魅力的です。
それは、その地域で不足している職業の国家資格を取得できる訓練が多いからです。
再就職に結びつく可能性も高いですし、正社員としての就職が出来る可能性も跳ね上がります。
また、訓練終了と同時に一般の専門学校を卒業したと同じ扱いになりますので、学歴が高卒未満の方にとっては、履歴書に「専門学校卒」と書けるようになるのも魅力的です。
メリットにもデメリットにもなりえますが、そのような職業訓練では高校を卒業したばかりの若者と机を並べて一緒に通学することになります。
彼らからは「社会人」として一線を張られるかもしれませんが、同じような訓練生仲間もそれなりにいます。
仲間がいるというのは心強いものです。
私は、この2年の職業訓練を利用して、最終学歴が「高卒認定試験合格」から「専門学校卒」になり、介護福祉士の国家資格も取得して、老人ホームに正社員として就職出来ました。
もちろん、雇用保険の「失業給付」を2年間受給しながら、です。
勉強や実習が辛いときもありましたが、一旦社会に出た後で机を並べて勉強するという機会は、たくさんの学びや気づきがありました。
それに、すぐ横に18~20歳の若者がいるという環境も新鮮で、ポジティブな気持ちになれ、今でもTwtterでゆるく繋がりながらいい刺激を貰っています。
最後に
失業したときの選択肢は、
- 傷病手当金などを貰いながら「療養する」
- 失業手当などを貰いながら「就職活動をする」
- 自分のペースを大切に「在宅ワークや起業をする」に付け加えて、ぜひ
- 給付を貰いながら「職業訓練を受講する」
も入れていただくと、この先の人生、もしかしたら良い方向に進んでいくかもしれません。
少なくとも、私は2回職業訓練を受講して、それぞれ「よかった」と思うことがたくさんあります。
皆様の今後が、より豊かになることをお祈りしております。