こんにちは、気分障害のアキです。
私の母親は何年か前に脳に悪性の腫瘍が見つかりましたが、抗がん剤治療とリハビリをやった結果、今は元気に働いています。
脳に何かあると怖いんだなと肌で感じたんですが、治療が軌道に乗るまでの母親は
- 前日のこともよく覚えていない
- 身体の左側がマヒしてて動かない
- 言葉もうまく出てこない
という、脳梗塞とかと似たような症状が出ていたんですよね。
それが、抗がん剤治療で腫瘍が小さくなって、リハビリでトレーニングした結果、元通りと言っていい状態まで回復しました。
かなり大きめの腫瘍で悪性、血液系だから最悪全身に転移するかも、という状態だったので良かったなぁと思っています。
脳梗塞とかって、一般的には「血液がサラサラになる薬」や「脳のはれを抑える薬」で急性期を治療して、結構早い段階からマヒや言語障害をどうにかするためのリハビリをするんですよね。
お年寄りに多い腰の圧迫骨折とかも、最初ギブスとかで固定して、骨がある程度治ってきたらリハビリで筋力もつけていく。
元々の疾患の治療がひと段落したら、その疾患のせいで損なわれてしまったいろんな機能を、リハビリテーションでもって回復させる。
リハビリテーションとは
ところでリハビリっていうと医学的に使う「身体的な機能の回復」がポピュラーですが、元々はもっと広い意味合いの言葉です。
リハビリテーション
障害のある人々を身体的,心理的,社会的,職業的,あるいは経済的に,各人それぞれの最大限度にまで回復させることをいう。本来この言葉は「人間にふさわしい権利,資格の回復」を意味し,「誤審の取消し」や「犯罪者の再教育,社会復帰」などにも使われてきている。
【コラム】
昔のヨーロッパでは、教会が力を持っていて、犯罪などで教会が破門された人は社会で生きていけなかった。破門された人たちを社会で生きていけるような試みが、リハビリテーション(社会復帰)と言われるようになったの。 https://t.co/QvmQsNVlYV
— うつ病ブロガー たぐ (@tagweblog) May 8, 2018
医学がカバーしてるのは一番最初の「身体的」のところだけなんですよね。
あとは日本では福祉がカバーすることになっています。
精神障害でリハビリテーションっていうと、「社会的」な面が強い印象がありますし、実際に日本の医療福祉制度が提供している精神障害者向けのリハビリテーションって、就労移行支援だとかの「社会的」が目立ちます。
精神障害にもリハビリって必要じゃない?
脳梗塞の人は血液サラサラになる薬を飲んで手足のマヒを改善するためにリハビリをする。
これ、割と一般的な医療です。
うつ病の人は抗うつ剤や安定剤を飲んで、認知のゆがみを改善するためにカウンセリングを受ける。
こちらは、あんまり一般的じゃないんですよね。
保険適用じゃないし。
カウンセリングってめっちゃ高いんですよねぇ…。
私もいろんなとこで受けてみたんですけど、最低でも1時間5000円は取られます。
お金かかるんで私は受けたことがないんですが、1時間5,000円は正直無理です。
でもうつから回復してる人って、高いカウンセリングを受けるなり、自力で認知のゆがみや自動思考を改善してる人が目立つ気がします。
服薬と休養だけで、うつって良くなりますか?
私は4年薬を飲み続けていますが、全然良くなってません。
適切な治療を受ければ半数の人は半年程度で寛解に至るとどこかで見ましたが、多分このブログを見る人は半年どころか数年選手の人が多いと思います。
うつの治療ってそもそも何をするのか
日本うつ病学会にうつ病治療のガイドラインというものがあります。
軽症うつ病
■全例に行うべき基礎的介入
・患者背景、病態の理解に努め、支持的精神療法と心理教育を行う
■基礎的介入に加えて、必要に応じて選択される推奨 治療
・新規抗うつ薬 ・認知行動療法中等症・重症うつ病 ~精神病性の特徴を伴わないもの~
■全例に行うべき基礎的介入
・患者背景、病態の理解に努め、支持的精神療法と心理教育を行う
■推奨される治療
・新規抗うつ薬 a) ・TCA/non-TCAa,b) ・ECTc)
■必要に応じて選択される推奨治療
・BZDの一時的な併用 d)
・Li、T3/T4、気分安定薬による抗うつ効果増強療法 e)
・AAPによる抗うつ効果増強療法 e,f)
・EBPT の併用 g)
要は何かというと、基本的にうつ病の治療には
- 支持的精神療法と心理教育
- 薬
このふたつが必要。
2番目は皆さんおなじみですよね。
でも1番の方はどうですか?
医師から「支持的精神療法受けれてるわ~」と感じてる人って、どのくらいいるんでしょうか。
最近の状況伝えて、そうなんですね、今回のお薬はこれね、という5分診療パターンで終わる人の方が多いんじゃないでしょうか?
私だけ?
ガイドライン的には薬と精神療法を推奨されているのに、精神医療の現場は薬ばっかりになってる気がするんです。
精神療法は心のリハビリ的なもの
精神療法とか心理教育というのは、骨折治療で言うところの添え木であったり、骨の周りの筋肉をつけるリハビリであったりします。
医師の指示でギブスやコルセットをつければ健康保険の対象です。
でも、うつ病治療で必要とされている精神療法、認知行動療法などは、5分や10分の医師の診察だけで十分に受けられるかというと、そんなことはない。
じっくり自分と向き合って、客観視された自分を知り、自分の思考と向き合っていくプロセスはどんな凄腕の医師であっても1回10分では到底無理でしょう。
そこで臨床心理士などのカウンセラーが活躍するわけなんですが、問題はその医師以外が行うカウンセリングが健康保険の対象じゃないという事です。
腰を圧迫骨折した人は安静にしてるだけじゃ寝たきり一直線になるだけです。
うつ病も同じだと思います。
心のリハビリをしなきゃ、回復まで持っていけない。
少なくともガイドライン的には、精神療法が治療の柱のひとつです。
なのに何故、こんなにも精神療法は受けづらいんでしょうか?
カウンセリングを保険適用にしてください
国は自殺者を減らしたり精神疾患を減らしたいなら、うつ病治療ガイドラインに沿った治療が受けられる基盤を作った方が良いと思うんです。
具体的には医師以外が行うカウンセリングなどのリハビリの保険適用化です。
だっておかしいでしょ、必要とされている医療が適切に行われていないって。
短期的には医療保険の負担が重くなるかもしれませんが、実施すればうつ病の重症化や長期化を防いで、社会復帰する人が劇的に増えて、社会的にはプラスに働くと思うんです。
精神療法、カウンセリングの必要性については、もっと声大きめに訴えてもいいと思うんですけど、いかんせん当事者はうつ病なので、その気力や意欲がなかなか…汗
でも署名集めるなり何なりの活動があったら、是非参加したいと思っています。
何か情報お持ちの方がいたら、教えてください。