こんにちは、気分障害のアキです。
うつの症状がある人は、「生きづらいなぁ」と感じることも多いと思います。
でもその生きづらさ、もしかしたらうつ病のせいだけではないかもしれません。
私は若いころアダルトチルドレンでした。
今はもう卒業していますが、当時のことを思い出しつつ、書いていきたいと思います。
機能不全家族とは
機能不全家族とは、簡潔に言えば「一緒にいて安心できない家族」です。
機能不全家族とは、家庭内で弱い立場にある人に対して、身体的または精神的ダメージを与える機会が日常的に存在している家族状態のことをいいます。
機能不全家族においてダメージを受ける存在は、家庭内で弱い立場になりやすい高齢者や子どもである場合がほとんどです。身体的・精神的ダメージには例えば、虐待やネグレクト(育児放棄)といった行為、また家族同士の不仲による対立や生活貧困、子どもに対する過剰な期待などが含まれます。
子どもが健全に育っていくためには、「安心できる、自分はここにいてもいいと当たり前に感じられる」環境が必要ですが、機能不全家族の場合は逆です。
「家が安心できる場所ではない」
普通は子どもにとって、家というのは「守られている」「一番安心してのびのびと過ごせる」場所ですが、機能不全家族では色々な理由によって「家は安心できない」場所になっています。
- 家族特有の非常に強いルールがある
- 親が親としての役割を果たしていない
- 笑うことがほとんどない
- 家族は分断されていて、統一性がない
- 公にできないような秘密がある
- 家族内の「嫌な面」は無視または否定されている
- 変化を嫌う
当てはまる箇所がある方はいるでしょうか?
私の実家の例で見てみましょう。
- 笑うことがほとんどない
笑うどころか、会話がほとんどありませんでした。ジョークを言うなんてことも、もちろんありません。必要最低限の「業務連絡」が唯一の会話のようなものでした。 - 家族は分断されていて、統一性がない
同じ家に住んでいるはずなのに、常に孤独でした。育児放棄(ネグレクト)に近い状態で、家族の絆とは何ぞや、という状態です。 - 公にできないような秘密がある
猫屋敷+ごみ屋敷で、まともに生きていける環境ではありませんでしたが、それは公然の秘密状態でした。 - 家族内の「嫌な面」は無視または否定されている
家族全員が猫屋敷+ごみ屋敷という「問題」から徹底的に目をそらしており、父親に至っては家に帰らなくなっていました。
その他、
親がアルコール依存症や何らかの障害があって、子どもが親の面倒をみなければいけない状況であったり、親が子に過剰な期待を押し付けていることで、日常的に子どもが強いストレスを抱えている場合なども考えられます。
機能している家族の中では、親が親として役割を果たしていて、会話があり、笑いもあり、家族としての一体感があり、プライバシーも尊重されます。
機能不全家族の子どもの特徴
機能不全家族の中で育つ子どもは、常に「安心できない≒不安」な気持ちを持って生きなければならないので、以下のような特徴が出てきます。
- 親にとって理想的な子どもを演じようとする
- あえてトラブルを起こして注目を集めたがる
- 息をひそめるように自分の存在を隠そうとする
いずれにしても、「自由な人格形成」が出来ず、人目を過度に気にするという点が共通します。
認められたい、必要とされたい、愛されたい。
マズローの欲求5段階説
人間の本質的な欲求は5段階のピラミッドのように構成されていて、低い階層の欲求が満たされると次の階層の欲求を欲するという、有名な説があります。マズローの欲求5段階説です。
生理的欲求が満たされた状態でないと、安全の欲求は生まれません。
安全の欲求が満たされた状態でないと、愛情欲求は生まれません。
というように、ピラミッドの下の層がある程度満たされていないと、次の層の欲求が生じないという説です。
機能不全家族では、一番下の層の欲求すら満たされない場合もあります。
そうすると、自然に上層の欲求も満たすことはできません。
自己実現欲求、つまり自分らしく生きるという段階に辿り着けないのです。
結果として、常に「生きづらさ」を抱えることになってしまいます。
アダルトチルドレンとは
機能不全家族の中で育った結果、生きづらさを抱えているのがアダルトチルドレンです。
アダルトチルドレンは医学的な診断ではなく、「自己認識」になります。
アダルトチルドレン(AC)とは、自分は子ども時代に親との関係で何らかのトラウマ(心的外傷)を負ったと考えている成人のことをいいます。
親との関係でのトラウマとなりうる精神的な傷つき体験としては、アルコール依存症や薬物依存症、セックス依存症、ギャンブル依存症、ワーカホリックなどといった嗜癖障害(依存症)の親の元で育つことや、機能不全家族の元で育つことなどが挙げられます。
アダルトチルドレン特有の生きづらさは、思春期から20代頃に現れ始めることが多いようです。
アダルトチルドレンの特徴
アダルトチルドレンの生きづらさは、以下のような形で現れます。
- 周囲の期待に過剰に応えようとする
- 完璧主義者である
- 誇大妄想を抱いている
- 他者からの要求を断れない
- 被害妄想に陥りやすい
- 表情に乏しく、楽しんだり遊ぶのが苦手
- 変化を嫌う
- 自己処罰的である
- 抑うつ気味で無力感をもっている
- 常に他者からの承認を求めている


今うつ病の治療中で、アダルトチルドレンの条件を満たしている方は、アダルトチルドレンからの卒業を意識すると、今より少し楽になるかもしれません。
アダルトチルドレンからの卒業
卒業をするにはまず入学が必要です。
入学とは、自分はアダルトチルドレンだという自覚を持つことです。
アダルトチルドレンは「自己認識」による概念だからです。
私の入学から卒業の流れは、以下のような感じでした。
- 生きづらさを一旦、親や家庭環境などのせいにしてみる
- 「●●のせいで」と怒り、不満を出し切る
- 親や家庭環境などから、物理的に距離を置く
- 育ってきた過程を客観的に観察し、分析する
- 自分の人生を生きる
私はアダルトチルドレンの自覚を持った当初、怒りがマグマのように次々と湧いて出て、憎くて憎くて仕方がありませんでした。
でも怒るって結構エネルギーを使います。
そんなことよりも、エネルギーを向けるべきものがある、それは今後の生活だと感じるようになりました。
そうなると、育ってきた過程で
「何が起きていたか」
「原因は何か」
「それが今の自分にどう影響しているか」
客観的に観察できるようになります。
そして、克服するべき課題も見えてきます。
課題が見えたら、もう前を向いて歩いて行けます。
つまり、過去ではなくこれからどう生きるかという「未来」を意識するようになったのです。
ここでもう一度マズローの欲求階層説の図を持ってきます。
実家から離れて一人で生活していくことで、生理的欲求と安全の欲求を獲得していきました。
次は、愛情(社会的)欲求です。
愛情(社会的)欲求は、一人の独立した個人として認められる、とも解釈できます。
友達や恋人と対等な関係を築くことが出来れば、この愛情(社会的)欲求も獲得していくことができるのです。
愛情欲求を獲得できたら、ようやく次に承認欲求がきます。
アダルトチルドレンは「認められたい」と強く思っていますが、安全欲求しか満たしていない状態からいきなり承認欲求を得ようとしても、なかなか上手くいかないものです。
私は結婚して、新しい家族を作ることで愛情欲求を獲得し、承認欲求へとステップアップすることができました。
夫には本当に感謝しています。
乗り越えた経験は、やさしさになる
辛い過去、思い出と向き合う作業は、決して楽なものではありません。
でも苦しい時期を乗り越えた時、アダルトチルドレンは人を深く思いやるやさしい人間になれる可能性があると、私は思っています。
それは、晩年にマズローが見出した、自己実現欲求の上に続く6段階目の「自己超越欲求」…自分のためだけでなく、他の人々や他の者を豊かにしたいという欲求という形であらわれるのです。
だって、目の前にいる自分の息子が、ほんの一瞬であっても、私のように「自分なんか生まれてこなければ良かった」と思うのは、絶対に嫌ですから。
体験をつづろう
あなたの「つらい過去」をどこに吐き出したらいいかわからないのであれば、ノートでも日記でもブログでもいいので、文字にして書きなぐることをお勧めします。
Twitterやブログに書けば、共感者はきっといます。
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文字として何かに残すことで、客観的に振り返ることができるようになった時に、分析をしやすくなります。
この記事が、誰かの何かのきっかけになりますように。
オススメの本